本日の本陣薬局ギャラリーの公開も盛況だったようです。
ご予約のお客さまの中にも、これから行くと言う方や行ってきたという方がおられました。
のぞきに行くことはできませんでしたが、みなさんに喜んで頂けたら嬉しいですね。

今回は慢性蕁麻疹の35歳の男性のご紹介です

一年半前から蕁麻疹が出ています。
抗ヒスタミン剤を内服されていますが、治らないとご相談です。
朝起きた時や夕方から夜によく出て、腕、足、お腹など、痒みがとてもひどく、掻きむしってしまわれます。
衣類の刺激や天候の変化でもひどくなるとの事でした。
慢性蕁麻疹は症状が長期間にわたり、原因もわからないことが多いものです。
漢方では少陽病位に属する場合が多く、この方には胆経、大腸経の袪風、化痰、清熱解毒、疎肝解鬱などの働きのある薬方を2種類選びました。
途中で薬方の変更が必要で、一年半の服用となりましたが、漢方薬を廃薬することが出来ました。
(ボテジャコ掲載)


(来店時 腕)


(5か月後)

 

~~ちょこっと漢方薬のお話~~

皮膚病に使う漢方薬に十味敗毒湯(散)があります

その名の通り10味の生薬から成り立つ薬方です

柴胡、桔梗、防風、川芎、桜皮(或は撲樕)、独活、荊芥、茯苓、甘草、生姜

江戸時代後期、世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を行ったとして有名な外科医、華岡青洲の創薬です。
浅田宗伯は勿誤薬室方函口訣に於いて
此ノ方ハ青洲ノ荊防敗毒散ヲ取捨選択シタル者ニテ、荊敗ヨリハ其ノ力優ナリトス
とのべているように、万病回春の荊防敗毒散が原方になっています
ちなみに荊防敗毒散は
柴胡、桔梗、防風、川芎、金銀花、連翹、枳殻、独活、羗活、荊芥、前胡、薄荷、茯苓、甘草

方意は表の湿熱、小柴胡湯証似で解毒、排膿作用

応用は化膿症に:ニキビ、中耳炎、外耳炎、リンパ腺炎、乳腺炎、急慢性鼻炎…
掻痒感に:湿疹、蕁麻疹、アトピー、掌蹠膿疱症、小児ストロフルス、手掌角化症…

湿疹ではあまり分泌液が多くなく、燥湿中間的です
基本的に柴胡剤で少陽の湿熱のため、陰証、虚証に間違って用いると結構ひどく悪化します。

薬味の桜皮ですが浅田流では撲樕(クヌギ、カシワの樹皮)を使います
撲樕は解毒作用が強く化膿に対して桜皮よりも効果が優ります

加味は連翹、石膏、薏苡仁、辛夷
合方は消風散など

 

ちょっと、ここで、驚きの事が…
この文章を書いている時、お店に来客があり本陣ギャラリーの事でお聞きしたいとの女性が。
ちょうど空いていたので少しお話をお聞きしたら、なんと、ご先祖の方が華岡青洲の門下生だったと!
お家が登録文化財になっているが、色んな昔の医療器具や薬が残っていて、どうしたら良いか考えているとおっしゃいました。
ギャラリーを見てきて、どうやって展示されたのか等、参考にしたいから…との事
コロナ禍で時間が出来たのでコツコツとDIYです … みたいな話をしばし。
でも、驚きましたね、ちょっと鳥肌が立っちゃいましたよ、こんなこともあるのですね~。

華岡青洲は乳がんの手術をするために通仙散(麻佛散)と名付けた全身麻酔薬を創薬しました
(通仙散は曼荼羅華、草烏頭、白芷、当帰、川芎)
この全身麻酔薬を創薬するために、青洲の母や妻も実験台となったのですが、母は亡くなり妻は失明したと言われています。
私が小学生だった頃、雑誌の漫画に華岡青洲の物語があったのを読んで、この治験の話で何とも言えないつらい気持ちになったのを覚えています。
確か乳がん手術の描写も結構生々しく書かれていたような…

先述の来店された女性が、話の中で通仙散の名前も出されたので、残っているのですかっ!ってきいたら
容器だけとのこと。

通仙散ですが華岡青洲が後に記した書物には麻佛散と書かれています
この麻佛散という名は後漢の神医、華佗が創薬した全身麻酔薬と同名です。

なんか今日は話が飛びました…


(痬科方筌/華岡青洲より)