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漢方の本陣薬局で婦人科、妊活の相談を担当している竹内美香穂です。
最近、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患で悩まれる方が多く、当店もよくご相談をいただきます。
子宮筋腫による自覚症状がある場合は、もう”今”つらい日々を送っていらっしゃると思いますし、特に今は自覚症状が無いという場合も、それが今後の自分にどう関わってくるか心配になりますよね。
今日は、子宮筋腫について、中医婦人科の考え方と対応の仕方をお話したいと思います。
子宮筋腫のご相談では、以下のようなお悩みをよくお聞きします。
- 「過多月経や月経痛などの症状を緩和したい」
- 「これ以上大きくしたくない、できれば小さくしたい」
- 「再発を防ぎたい」
- 「子宮筋腫があるけど、妊活をしたい」
- 「子宮筋腫があり、手術を先にするか、妊活を進めるか迷っている」
このように、何に悩んでいるか、何を優先するか、何を目標にするかは本当にさまざまで、お一人お一人のご事情に合わせて対応するために、私は以下の視点を大切にしています。
1.一番大切な視点「何を目標とするか」
まず、一番大切な視点は、「何を目標とするか」だと思います。
例えば、子宮筋腫自体のサイズをなんとかしたいという場合と、子宮筋腫が妊活の邪魔にならないようにしたい場合では、対応の仕方が違ってきます。
子宮筋腫のサイズを変えたくない、願わくば小さくしたいという場合は、血の巡りを良くする漢方薬の中でも、より力の強いものを使うことが多いです。
一方で、妊活を予定している場合は、血の巡りだけに特化させるのではなく、もう少し優しい方法で、卵胞や内膜の成長を応援しながら、子宮筋腫が悪さをしないようにしていく、という考え方が必要になります。
子宮筋腫がある方が妊娠され、流産や早産のリスクになることが心配という場合は、赤ちゃんの成長を邪魔しないように、子宮筋腫をやわらかくするという考え方もあります。
また、過多月経や不正出血などの自覚症状を軽減したいという場合は、子宮筋腫自体への対策に加えて、自覚症状に対する対策も大切にしなければなりません。
いずれ手術することは決まっているけど、不妊治療を先に急ぐことになったなら、子宮筋腫への対応よりも、不妊治療の効果を高める方法を優先する場合もあります。
ですから、子宮筋腫のご相談では、「子宮筋腫をなんとかしたい」という思いの先に、何が待っているのか、何を目標にしているのか、これをお聞きすることをとても大切にしています。
そのうえで、漢方相談で目指せるところを一緒に考えていきますが、その判断材料として、子宮筋腫の現状(大きさ・場所・症状)を把握することも大切にしています。
一般産婦人科、もしくは、妊活の場合は生殖医療専門のクリニックのドクターの評価をお聞きするのはそのためです。
2.西洋医学的な視点
子宮筋腫があるとき、気になりやすいのは「大きさ」ですが、実際はそれだけで考えることはできません。
子宮筋腫は、大きさだけでなく、場所や症状によっても治療方針が大きく変わることがあるからです。
①子宮筋腫の大きさに対する考え方
子宮筋腫の大きさに関して、「5~6cm以上は手術が必要」という情報がよく見られます。
お客さまの中にも、そのようにネットで見て不安になる方がいらっしゃいます。
実際はそう単純な基準ではなく、例えば6cmあっても手術せずに様子をみる場合もありますし、逆に、2cmしか無くても、妊活を考えていて着床の邪魔になりそうであれば、手術が優先される場合もあります。
「〇cm以上はこうするべき」という絶対的な基準があるわけではありません。
②子宮筋腫の場所に対する考え方
子宮筋腫の状態を把握するためには、”どこにあるか”も重要です。
子宮筋腫の場所は、大きく分けて3つあります。
1.筋層内(きんそうない):筋肉の中
子宮筋腫の中で一番多く、自覚症状が無ければ、ある程度大きくなっても手術をせずに経過観察する場合も多いです。
過多月経(月経量があまりに多い状態)の原因になっていたり、妊活中で子宮が変形するほど大きかったり、妊活中でなかなか結果が出ず、子宮筋腫以外に問題点が見つからない場合、手術が優先されることがあります。
2.粘膜下(ねんまくか):子宮の内側
他の場所にある筋腫と比べて、小さくても問題になることが多いです。
過多月経や月経痛、不正出血などの自覚症状の原因になりやすく、妊活中であれば、着床の邪魔になったり、妊娠したときに流産・早産の原因になることもあるため、小さくても手術が優先される場合があります。
3.漿膜下(しょうまくか):子宮の外側
漿膜下筋腫は、小さいうちは無症状であることが多いです。
筋腫が大きく、周囲の臓器を圧迫して頻尿や腹痛などの症状がでたり、茎捻転(ねじれてしまう)のリスクが考えられたり、妊活の障害になると判断された場合は、手術が検討されることがあります。
実際のご相談では、「場所や大きさはよくわからない」という場合も多く、次回の診察時にドクターに聞いてみていただくことをお伝えしながら、ドクターから現時点で伝えられていることを伺い、対策を検討していきます。
自覚症状についての考え方は、この後の「中医学的な視点」のパートでお話しします。
3.中医学的な視点
私は、目標としたいことや子宮筋腫の状態を把握したうえで、中医学の考え方に合わせて対応しています。
その際、子宮筋腫そのもの、子宮筋腫ができる原因(体質・生活環境)、子宮筋腫による自覚症状、この3つの視点を大切にしています。
①子宮筋腫そのものに対する考え方
中医婦人科では、子宮筋腫のような”塊”を、瘀血(血が滞って塊になったもの)や痰湿(水が滞って塊になったもの)と捉えます。
巡りが悪くなり、ドロドロして、やがて塊になる、というイメージです。
血や水が滞っているときに出やすい症状には、以下のようなものがあります。
- 月経血が暗い色をしている
- 月経血に塊が混じる
- 月経痛がある
- むくみやすい
- 舌に苔が溜まりやすい
子宮筋腫がある方なら、当てはまる場合が多いのではないでしょうか。
でも大切なのは、何でもかんでも巡りを良くすればよいというわけではなく、何を目的にしているかによって対応は変わってきます。
そこで次に大切なのが、子宮筋腫ができる原因(体質・生活環境)に対する考え方です。
②子宮筋腫ができる原因(体質・生活環境)に対する考え方
中医婦人科では、子宮筋腫そのものに対する対応だけでなく、「なぜ子宮筋腫ができたのか」も大切に考えます。
この考え方が、「今後、症状をひどくしないためには、再発させないためにはどうしたらよいか」に繋がるからです。
例えば、子宮筋腫ができやすい体質・生活環境には以下のようなタイプがあります。
1.気滞(きたい)型
ストレスや精神的な緊張で気(エネルギー)の巡りが滞り、その結果、血の巡りも悪くなって塊ができるタイプ。
- イライラしやすい、ストレスが多い
- 月経前に乳房や脇が痛いくらい張る
- 月経痛が強く、月経血に塊が混じる
2.寒凝(かんぎょう)型
身体を冷やすことが多い生活環境によって、血や水の巡りが悪くなり塊ができるタイプ。
- 冷たいものの飲食が多い
- 下半身を出すファッションをよくする
- 月経血の色が紫暗く、月経痛が強い
3.気虚(ききょ)型
気(エネルギー)の働きが弱く、血や水を押し出す力が十分でないために、巡りが悪くなり塊ができるタイプ。
- ひとより疲れやすい
- 食欲や便通が乱れやすい
- 月経量が多かったり、ダラダラと8日以上長引いたりする
4.陽虚(ようきょ)型
体を温める力が足りず、全身が冷えて血や水の巡りが悪くなり、塊ができるタイプ。
- 人より寒がりで冷えやすい
- 下痢・軟便になりやすい
- むくみやすい
中医婦人科では、このような体質や生活環境が背景にあり、血や水の巡りが滞って瘀血や痰湿を形成し、塊=子宮筋腫ができると考えます。
実際には、これらのタイプが単独で現れることは少なく、複数のタイプを併せ持つ場合が多いです。
このようなタイプを把握したうえで、どのように巡りを良くしていくか、これ以上滞らせないためにはどうしたらよいかを考えます。
子宮筋腫の相談なのに、他の不調や睡眠や食事などのご生活状況、こころの状態など、一見関係ないようなこともお聞きするのはそのためです。
この視点は、次の、子宮筋腫による自覚症状に対する考え方にも繋がります。
③子宮筋腫による自覚症状に対する考え方
子宮筋腫がある方のお悩みは、筋腫そのものよりも、それによって起きている症状にあることも少なくありません。
子宮筋腫による自覚症状には、以下のようなものがあります。
- 過多月経や、それによる貧血
- 月経期間の延長、不正出血
- 月経痛
- 圧迫による排尿や便通の異常
これらの自覚症状は、先ほどご説明した体質や生活環境が関係している場合も多く、子宮筋腫そのものへの対策と、自覚症状に繋がる根本原因への対策を同時に行っていくことが多いです。
例えば、過多月経には、気滞型や気虚型が関係していることが多く、気滞型の場合は、気血の巡りを良くしながら、余計な出血を抑えていく方法を考え、気虚型の場合は、出血を止められる力をつけながら、優しく巡りを良くする方法を考えます。
自覚症状が重なり複雑になっている場合は、月経中は、痛みや出血などの自覚症状に直接アプローチする漢方薬を飲み、それ以外の日は、根本的な体質へアプローチするための漢方薬を飲むなど、月経周期に合わせて漢方薬を飲み分ける方法もあります。
何を目標とするか、子宮筋腫の状態、子宮筋腫ができた背景、自覚症状、これらを全て合わせて検討して、本当にその方に合う対策を考えることを大切にしています。
まとめ
子宮筋腫の対応は、「筋腫があるからこう」「この大きさだからこう」と一概には言えません。
いろいろな情報が錯綜し、結局どうしたらいいのか、クリニックで勧められた方法で良いのか、自分の選択が正しいのか、迷ってしまうことも少なくありません。
何を目標にしているか、西洋医学的な状態、中医学的な状態、自覚症状、これらを一つずつ整理していくと、自分に合った対策を考えやすくなります。
私も、子宮筋腫の先にあるものにしっかりと目を向けながら、後悔しない選択をするお手伝いができるように、これからもこの視点を大切にしていきたいと思います。
何も情報が無い場合も、情報を集めるところから一緒に始めますから、ご安心くださいね。

こないだの日曜日(3月22日)、昨年2025年の10月に行った中医婦人科研修の復習勉強会に名古屋に行ってきました。(研修模様は、こちらでもご紹介しています北京で学んだ中医学婦人科の最前線 ― 不妊・月経トラブルに向き合う中国研修レポート ―)。
持ち帰った症例を各自まとめて発表、共有することができ、早速今週のご相談に活かせています。
持ち帰った症例が多く、まだまだ時間が足りなかったので、これからも毎晩少しずつ分析していこうと思います。



