ここのところの気候は、まだまだ春らしくなかったのですが、あちらこちら桜の開花宣言に、やっと春めいてきそうです。

先日は、妊活相談をきっかけに今もご来店していただいているHさんと、その時出産されたお子様が、高校3年生になるという話になり、
ということは、もう20年近く前にさかのぼる話に感慨深く感じておりました。
今になってみたら、妊活相談の初期の頃といえますが、その時はそのように思っておらず、勝手に経験を積み重ねていると思って頑張っておりました。ついこの前のように、その時の相談の様子が思い出されます。

今日ご紹介するお話は、若い頃の急激な体重減少がきっかけで月経不順になり、改善しないまま、30歳の終わりごろにご結婚され、その後漢方薬でサポートさせていただいた例です。

去年秋に、生まれつき月経不順という例についてお話いたしました。
その他にもご紹介していますので、こちらも参考になさってください

https://kampo-honjin.com/page/2?s=%E6%9C%88%E7%B5%8C%E4%B8%8D%E9%A0%86

月経不順は、妊活にとって大敵であり、
放置すると、不妊、流産、早産、骨粗しょう症、生活習慣病などの様々な病気、場合によっては子宮や卵巣の病気や癌の原因になる可能性があります。
月経周期は10代後半、20歳代には安定していることが大切で、その後はだんだん正常な月経周期に戻すことが難しくなります。

妊活の基本は、生殖能力腎精力 と考えます。
月経不順の方は生まれつき「腎精力」が弱い方が多いのですが、早い段階からサポートをすることにより、腎精力を正常に近く改善することが可能になります。

とはいえ、多くのご相談者様が、結婚して30歳以上になってからご来店することが多く、そのような中でも、月経不順が改善し妊娠に至られているのですが、漢方薬にもっと早い段階から出会っていただけたら、苦労せずに済むかもしれないといつも思うのです。

40歳のYさんのお話です。

20歳の頃7キロほどやせたことがきっかけで月経不順になり、その後改善しませんでした。

仕事も充実していたので、結婚は30歳後半に。
女性が仕事を続けるためには、結婚して子供を育てることは大きな足かせになります。今は男性がかなり協力的で、家事を手伝うところも増えていますが、十分ではありませんし、妊娠期間、産後のしばらくはどうしても仕事に出られない時期があります。
自分の夢と、結婚後の生活との天秤に悩まされ、簡単に結婚に踏み切れないことも多いのです

Yさんは大きな資格を取り、その資格を活かしてキャリアを重ねている最中でした。

その中でも、縁があって38歳で結婚、1年後に子宝に恵まれないため産婦人科に通院することになりました。
40歳になっても妊娠しないため通院を休み、知人の紹介で来店されました。

胃腸が弱くいつも下痢で、頭痛に悩む毎日です。痩せてしまった原因は、精神的なストレスがきっかけだったのですが、その際に、自律神経を主る肝の働きが、脾の働きを損なってしまい、胃腸の働きが弱くなってしまったのです。

胃腸の働きが弱ると、体重が減少し、臓器を作るたんぱく質も不足し、気血が不足するようになり、生殖の働きを助ける「腎」の働きが損なわれてしまいます。
必然的に、月経不順、無月経になります。
以下産婦人科診療ガイドラインの記述も参考にできると思います。

体重減少性無月経は、短期間に体重が減少することによって引き起こされる無月経であり、一般的には3~6カ月以内に、元の体重の15~20%以上減少すると無月経になることが多い。産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023より)

Yさんは7キロ減少、もとの体重は紹介いたしませんが、太っているタイプではなく、ちょうどよい体重だったので、ガイドラインに引っかかるかどうかのところです。
7キロ減少で影響が出る元の体重として
例えばの15%の場合、もと体重は47キロほどです

痩せてしまった原因はストレスだったので、なおさら月経不順になりやすい状況があったと思います。

このような場合、大きなストレスによって弱ってしまった胃腸を整えることはとても大切なのですが、長期間月経不順が続いたことによって、本来は正常だったかもしれない生殖の働きも弱っており、その上に40歳という卵巣の妊娠力が急激に衰える頃で、非常に厳しい状況だったため、早急に生殖の働きを助けることが大切でした。

生殖の働きは「腎」が主る
腎精は脾に養われる

この2点が重要です。

早速脾と腎を温め補う漢方薬を中心に服用し始めました。
まずは、朝がなかなか起きれず疲労感が大きかったところ、目覚めが良くなりました。月を追うごとに、下痢をしなくなり、疲労感が改善していきました。
そして、月経周期が徐々に回復、ほとんど下痢をしなくなりました。
体重が、少しずつ正常に回復し、頭痛が無くなってきたのでとても喜んでおられました。妊活が目的ですが、やはりとても疲れやすくて、本当に妊娠しても大丈夫か不安でもあったとのことで、
元気になってきたことが何よりで、
ずっと漢方薬を続けたいと、嬉しいお話も聞かせていただくようになりました。

そのような中1年後、子宝に恵まれました。

この話は体外受精が保険適用になる前のお話です
現在の環境では
もしかしたら、Yさんは、体外受精に進まれているかもしれないですね。
ただ、そこで本当にうまくいくかは疑問です。

体調を整え、生理不順を改善したら自然に授かった例ですから
体調が悪い中、無理に、採卵、移植にしても
難しかったかもしれないと思います。

どの方法を選ぶかということではなく
一緒に考えてみることが大切だと思います。

体調を整えてから体外受精に進む選択
まさに、
「急がば回れ」
ですね。

漢方薬による自然妊娠、不妊治療、体外受精、いろいろな選択がありますが
私は一緒に助け合い、一人でも多くの方が幸せな家庭を築くお手伝いができたらと思います。

今年は2月3月が寒かったので、庭の椿が今頃咲きだしました💦
椿は、バラのようで、本当に華やかです。
今年はいっぱい花芽が付き、花の少ないこの時期の庭を明るくしてくれています♬