湖北しぐれ…
この時期になりました。
毎日のように虹が出ます…
彦根や米原、長浜(旧市街)のお客様が
「やっぱりこっちは寒いですね~」
夏に比べて、木之本が遠くなります
冬が始まるようですね…
今回は慢性の胃もたれ、胃の膨満感、不快感に悩む50歳代の女性のご紹介です
1年ぐらいずっと食後に胸やけと胃もたれ、胃が張るとのご相談です
食欲は普通というかよく食べられる、食べ過ぎるぐらいです。
ゲップも良く出ます。
最初は瀉心湯と判断して1か月半ほどお飲み頂きましたが、胸やけはマシになるも
膨満感やゲップが改善されないとのこと。
薬方を変更して理気、化湿の薬方の加味方を選びました。
服用後は症状は改善する事もありますが、食事によってまたぶり返します。
その後、陽証に近づけたり、陰証に近づけたりしながら
時間はかかりましたが徐々に改善していきました。
~~ちょこっと漢方薬のお話~~
胃腸の漢方薬に平胃散があります
薬味は 蒼朮(白朮)、厚朴、陳皮、大棗、乾姜(生姜)、甘草
蒼朮:発表に優れ除湿
厚朴:気滞を散じ腹満を除く
陳皮:行気し上焦の湿を去る
方意は 上焦の気滞・水毒による心下の停滞感 いわゆる食滞(消化不良、胃内発酵)
胃腸炎、消化不良、食欲不振、腹部膨満感、下痢、腹鳴 などに用います
また上焦の気滞、水毒に対する方意から胸満感・咳嗽に用いることもできます
出典は太平恵民和剤局方
理気化湿の基本処方で、多くの薬方に組み込まれ、加味方があります
+神麹、麦芽、山査子 :加味平胃散
+五苓散 :胃苓湯
+藿香、半夏 :不換金正気散 ⇒ +蘇葉、白芷、大腹皮、桔梗、茯苓 で藿香正気散
有持桂里は校正方輿輗で
此方消導ノ剤ナリ、或ハ莎草宿砂木香藿香ノ類ヲ擇ヒ加フ又水穀停滞二ハ神麹麦芽……と、加味の薬味を連ね
宋後の方なれど良い方剤で、世の中の医は競って之を用いる… と述べています。
江戸後期だと思いますが、当時は平胃散がよく使われていた様子がわかります。
平胃散や二陳湯はいわゆる後世方の薬方なのですが、薬味が少なく多くの処方のベースとなり、色んな加味もある処方です。
傷寒論、金匱要略の古方の薬方は後漢の頃で西暦200年頃、平胃散は和剤局方が出典で1100年頃の処方です。
中国のその時代の環境や食事を含めた生活様式の違いでしょうか、傷寒金匱にはこういった理気化湿といった脾胃主体の薬方はまだ出てきません。
我が国でも江戸時代に世が安定して、庶民が食べ過ぎ、消化不良といったことの現れなのでしょうかね。
浅田宗伯は 勿語薬室方函口訣で
此の方は後世家は称美すれども顕効はなし。唯金匱橘皮大黄朴硝三味方の軽症に用ひ、或いは食傷、備急円(金匱:三物備急丸-大黄乾姜巴豆)にて快下の後、調理に用して宜し。~~~
と述べています
平胃散証は下痢すると腹部膨満感が軽くなり楽になる傾向があります
また平胃散は陽、六君子湯は陰という陰陽表裏の関係となります
平胃散に五苓散を合方した胃苓湯に対し
湯本求眞は皇漢医学で
特ニ其ノ要ナク小柴胡湯加橘皮厚朴湯ヲ以テスレバ足レリ
と述べているのですが…
胃苓湯:蒼朮、厚朴、陳皮、猪苓、澤瀉、白朮、芍薬、茯苓、桂枝、大棗、乾姜、甘草
小柴胡湯加橘皮厚朴湯:柴胡、黄芩、半夏、人参、橘皮、厚朴、大棗、生姜、甘草
……

(勿語薬室方函口訣より/浅田宗伯)







