先日、業界の総会で彦根の玄宮園に行ってきました。
実は行くのは初めてです💦
木之本に住んでいると長浜以北の戦国時代の歴史には少しは知識はあるのですが、正直な所、彦根藩の事はあまりというかほぼ知らない…です
大河ドラマで入る知識の程度…
どうする家康で登場した井伊直政が関ヶ原の後、初代彦根城藩主になり
その第4代藩主の井伊直興が造営したと…
で、安政の大獄の井伊直弼は第13代…
同じ滋賀県なのに彦根の方からはお叱りを受けるかもしれませんね
茶室でお抹茶と埋れ木を頂き、伝統美の中で優雅な時間を過ごしました。
今回は足指のしびれの方のご紹介です
65歳 女性
元々血圧が安定せず体調不良もあり、当店で以前から漢方薬をお飲み頂いている方です。
左足の指にジーンというしびれもあり、凍傷になったような感覚とのこと。
血圧も安定してきて、体調も悪くないので、足のしびれの薬も欲しいと言われました。
足の指のしびれは腰椎に異常がある場合が多く、腰椎を確認しましたが、
足のしびれの反応は腰椎にはありません。
この方は以前から頚椎に異常があり、肩こりもきついとおっしゃっていましたので
頸椎を診てみると、足のしびれと同じ反応。
この女性の足指のしびれは頸椎が原因しているようです。
このため頚椎の関節の水分代謝を良くし、ミネラルのバランスを整える薬方、血を補い、血流を改善する漢方薬をお飲み頂きました。
一ヶ月目で少しましになった感じがあり、四ヶ月でかなり改善しました。
その後半年程度でしびれはなくなりました。
(ボテジャコ掲載)
頸椎や腰椎など骨、関節の関係する痛みやしびれに対して、漢方療法としては以前は水(毒)に対する薬方で改善できる場合が多かったのですが、近頃は水と血の薬方が両方必要な事が多いように思います。
環境の変化や特に食生活の変化が大きい原因のように思います。
~ちょこっと漢方薬のお話「痛みの漢方薬」~
神経痛や関節痛に使う漢方薬に疎経活血湯があります
出典は万病回春で
遍身走痛して刺すが如く、左足痛むこと尤も甚だしきを治す。
左は血に属す。多くは酒色損傷に因って筋脈虚空し、風寒を被り、湿熱内に感じ、熱、寒に包まるるときは、即ち痛み、筋絡を破る。
是こを以て、昼は軽く夜は重し。
宜しく以て経を活かし、湿を行らすべし…
と、疎経活血湯の使用目標がほぼ述べられています。
薬味は
当帰、地黄、川芎、蒼朮、茯苓、桃仁、芍薬、牛膝、威霊仙、防已、羌活、防風、竜胆、陳皮、生姜、白芷、甘草
17味という漢方の中でも薬味がかなり多い処方です
この中の当帰、地黄、川芎、芍薬は四物湯(血虚)
桃仁(瘀血)、牛膝(瘀血)、竜胆(肝胆系の炎症)
が血剤で
防已、蒼朮、茯苓が水毒に対して
防風、羗活、白芷、威霊仙は風湿を除き、水毒に対する作用を強めます
ということで、血虚がベースにあり、風寒湿からくる水毒、瘀血が加わって経絡が巡らなくなった痛みに使います
薬味をみると防已、蒼朮、茯苓と、水毒に対しても効果があるように思えるのですが、
私の経験的にはあくまでも四物湯の血虚がまず重要で、水毒だけの痛みには使ってもそれほど効果が期待できないように思います。
それぞれの薬味の量やバランスも関係すると思いますが、こういったところが漢方処方を理解するときの面白いところです
水毒の防己黄耆湯から考えると黄耆が入るとより骨・関節代謝に向くようには思いますが、薬味の量が少ないことと、
黄耆加味という先例がないことを考えると、効果は出ないのでしょうね
(やはり併方じゃないと…)
また小難しくなってきてしまいました…
しかし、先にも書きましたが、昔の脂肪もあまり多くない和食中心の頃は、骨・関節の痛みに対して水毒の薬方のみで対処出来ていたのが、
近年の洋食文化が入り高脂肪食になった食生活では、疎経活血湯などの血毒に対しての薬方が必要な場合が多いように思います。
(玄宮園)