今年も木之本の地蔵縁日が終わりました
毎年8月22日の夜から25日まで、通りに屋台が出てにぎわいます
というか、どこからこんなに人が湧いて出てくるのか…と思うほど。
今年は特に土曜、日曜とかぶっており、天候にも恵まれ(暑すぎますが…)かなりの人出。
縁日が過ぎると秋風が吹いて、一気に季節の代わり目を感じるのですが、今年はそうはいかないような…
さて今回は不安神経症、不眠等でお悩みの70歳代女性の紹介です
認知症の主人と体調不良の娘さんをかかえ、不安で押しつぶされるようになります
気持ちの切り替えが出来ず、元気がなく、やる気が出ない
頭が重く、肩こり、腕がこわばり震える感じがする 等の症状です
2年前、8年前にうつ病で入院もされています。
この方には五志の憂で糸練功をとると3つの証が確認され、それぞれに薬方を煎じ薬、粉薬などで服用頂きました。
効果は早く現れ、一か月で少し元気が出てきて、2か月目には眠剤なしで寝られなかったのが、飲まずに寝られるようになりました。5か月目には全く元気に過ごせるようになりました。
精神神経症には糸練功で五志の憂の証を確認するのですが、複数の証を確認することが多くあります。
症状改善には必要でない証もあり、その見極めは必要です。
症状が長く続いている方や、永年にわたり症状を繰り返している方は、治療途中で別の新たな証を確認することもあり、根気よく取り組むことが大切です。
今回の紹介の方は、中でもかなり早く改善に導けた例です。
~~ちょこっと漢方薬のお話~~
精神神経症に使う漢方薬に甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)があります
薬味は甘草、小麦、大棗 の甘味の3味だけ、出典は金匱要略です
婦人蔵躁喜悲傷欲哭象如神霊所作数欠伸甘麦大棗湯主之 /婦人雑病脉證併治第二十二
(婦人のヒステリーで悲しんで叫ぶ泣き、様子がもののけがついたようなおかしい状態になり、しばしばあくびするのは甘麦大棗湯の主治である)
意味なく泣いたり、笑ったりという神経興奮状態、急迫的痙攣を緩めます
急迫症状を緩めるために使うためそれぞれの薬味の量も多く、甘草5g、大棗6g、小麦20gです
応用はヒステリー、神経症、夜泣き、ひきつけ、てんかん発作、胃痙攣、痙攣性咳嗽、アトピー等の激しい痒み などに使えます
甘草は脾胃を補い、小麦は肝気、心気を補います
大棗も脾胃を補うのですが、大棗の赤は心の赤で、心気を補い緩めます
このため甘麦大棗湯を飲むときに、なつめを一緒に食べると大棗を増量したことになり効果が高まります。
もちろんこの薬方は小麦、グルテンアレルギーには使うことが出来ず、甘麦大棗湯証があるときは、なつめだけを食べるとある程度効果が期待できます。
金匱要略には「~亦補脾気」とあり、脾虚の小建中湯、六君子湯、人参湯が無効の時に、本方が有効な時があると言われています。私はまだこの証を経験したことは無いのですが…。
浅田宗伯は勿誤薬室方函口訣に於いて「凡テ右ノ脇下臍傍ノ辺ニ拘攣ヤ結塊ノアル処ヘ用ユルト効アルモノナリ」と腹証を述べています。
また、後頭部に甘麦大棗湯の反応穴があり、これも糸練功で確認することが出来ます。
金匱要略の条文中の「蔵躁」はヒステリーの事なのですが、蔵とは子宮の事を指します。
子宮は古代ギリシャ語でヒュステラといい、ヒステリーはこれに由来しています。
この甘麦大棗湯についてはもう10年以上前になりますが、論文発表しました…
この論文で
ナルコレプシー(~居眠り病))や特発性過眠症の人に甘麦大棗湯証を確認したのですが(あくまでも標治です)、金匱要略の条文の通り、あくび(欠伸)が甘麦大棗湯の証決定に決め手になることがあり、関連性を思わせる症例でした。

(金匱要略/方術信和会より)








