滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2023年3月分をご紹介いたします。

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今月は、第255回『息苦しい、食欲がない…~ストレスは大きな原因~』です。

-以下、記事本文-

60歳のYさん、数か月前から息苦しさを感じ、夜が眠れず、食欲もありません。
コロナの流行の事や家族の事などを心配しだしてから、何か体がおかしいとの事でした。
動悸やめまい、頭痛もあり病院で検査するも特に異常はないと言われました。

元々責任感の強い方で、心配し過ぎから、自律神経のバランスが崩れてしまったのでしょう。
Yさんには肝気を巡らせ解鬱作用のある薬方と安神作用の薬方を選びました。
調子を崩されてからお越しになったのが早かったため、長くかからずに体調を回復することが出来ました。

51歳のKさんは半年ほど前から動悸がして落ち着かず、食欲が落ちたと言われます。
耳鳴り、めまいも最近起こってきたとお困りでした。色々心配事もあり年齢的な影響もあるようです。

Kさんには肝気を巡らせ安神作用のある薬方と、耳鳴り、めまいには胃腸の機能を高め水分代謝を調節する薬方を選びました。
この方もあまり長く患っていないためか、数か月で体調も戻ることが出来ました。

東洋医学の古典には「七情(怒喜憂思悲恐驚)の内傷なければ六淫(風寒暑湿燥火)の外邪犯さず」と言う言葉があり、精神的な憂いが体の免疫力を落とし、多くの病の原因になると言っています。

患者の「患」(わずらう、うれい)という文字は心に串が刺さった状態を表しており、今も昔も精神的ストレスが体調を崩す大きな原因であることに変わりないようです。
日々の生活でストレスとうまく付き合うことが大切で、早め早めに漢方薬で対処することも良い方法です。

滋賀夕刊掲載【第255回】漢方薬のおはなし